こんにちは、Yです。
今日は、以前から書こうと思っていて、なかなか書けていなかった記事を書きます。
「発達障害グレーゾーン向けの就活のやり方」。
なぜこの記事を書こうと思ったか、簡単に説明させてください。
いま、普通の人向けの就活の本はたくさん世に出ています。
また、重度の障害者に向けた、オープンな(障害を隠さない)就労の本もあると思います。
しかし、定型発達ではなく重度の障害でもない、グレーゾーンに向けた情報は少ないように感じます。
最近はインターネット、特にSNSで様々な情報が手に入りますが、グレー向けの就活の情報はまだまだ足りないように思いました。
そこで、私が経験した限りのことを、ここに書いていこうと思います。
オープンか、クローズか、それが問題だ

まず、発達障害者の就労はオープンとクローズに分かれます。
オープンは先ほど書いたように、障害を隠さずに就労するものです。
一方、クローズは、障害を隠して働くものです。
オープン就労の場合、企業によって待遇にかなり差があります。
また、障害が身体的なものか、精神的なものかによっても仕事内容が変わる可能性があります。
今回私が取り上げているのはクローズ就労の方です。
クローズ就労の場合、グレーは定型発達と同じ土俵で戦うことになります。
戦い方を考えないと、ボロ負けする可能性もあります。
定型発達をエミュレートするかどうか

次に、定型発達をエミュレートするかどうかという問題があります。
参考 : 健常者エミュレータ事例集Wiki

グレーの人も、定型発達を真似ればそれなりにまともに振る舞える可能性はあります。
事実、一般的な会社員でも、定型発達に擬態しているグレーは結構います。
ただ、最低でも書類選考、webテスト、面接などの各選考段階ではグレーを隠す必要があります。
私は、基本的には定型発達をエミュレートしてグレーは隠した方がいいと思います。
なぜなら、グレーのままで就ける職業は限られていて、エミュレートしないと職業の選択肢が減ってしまうからです。
例えば、芸術家などは発達障害グレーであっても生きていける可能性があります。
また、ITエンジニアやデザイナーなど、現代の職人的な仕事であれば、グレーが目立たない可能性もあります。
しかし、それは今時点での話です。
もしかしたら、今後はITエンジニアやデザイナーでも定型発達力が求められるかもしれません。
というか、既にそういう傾向は見えてきています。
ITエンジニアでも、大学で機械工学を専攻した人がSIerに就職するのと、高卒の人がプログラムを書く仕事をするのは待遇が違います。
同じ業界でも、元請けの会社と下請けの会社、上流工程と下流工程、というように、仕事の内容は変わってくるのです。
定型発達力が高い方が元請けの会社や上流工程の仕事に食い込める可能性が高いです。
そして、当然、元請けや上流工程の方が給与も高いです。
そう考えると、何かの才能があるとか、特別なスキルや資格を持っている人以外のグレーは、定型発達力があった方がいいです。
そのため、健常者をエミュレートして「普通の人」っぽく見せることが必要になってきます。
基本的には、日常生活のあらゆる場面で健常者に擬態できた方が有利ですが、それが無理なら、せめて面接のときだけでも擬態しましょう。
具体的には、面接で予想外の質問をされたときに、普段のくせで変な発言をしないことなどが挙げられます。
私は、とある教育業界の企業の面接を受けたときに、「どんな大人になりたいですか?」と訊かれて「愛のある大人になりたいです」と答えてしまいました。
私は元々他人から影響を受けやすい性格で、当時はSNSや文学を通じてキリスト教に傾倒していたこともあり、毎日「隣人愛」について考えていました。
毎日「隣人愛」について考えているだけでも変人感はありますが、それを口に出さなければ大きな問題にはなりません。
しかし、面接で前後の文脈もなく、いきなり「愛」を語ると、「こいつは変な奴だ」と思われてしまいます。
私の上記エピソードは極端な事例かもしれませんが、グレーの人の就活には、ESや面接でこのような違和感がつきまといがちです。
外見はめちゃくちゃ大事


そして、外見は非常に重要です。
まず、ESや履歴書に写真を載せて提出する企業の場合、写真が重要です。
写真写りは良くしておきましょう。
写真写りを良くするといっても、加工アプリで顔をいじるのではありません。
筋トレ、ダイエット、メイクなどをして、美男美女に近づこうということです。
よく、「清潔感のある外見」という表現を見かけますが、これは、身も蓋もない言い方をすると「不細工やブスではない」ということです。
平たく言えば、キモオタ的な外観ではない、芋臭くないということですね。
もし給与や福利厚生のいい企業に入りたいのであれば、最大限の外見磨きをしましょう。
もちろんルッキズムが良いことなのかどうかという哲学的な議論はあります。
しかし、一旦そういうことは棚上げして、まずは自分と相性のいい企業から内定をもらうことを目指してください。
まあ、ここだけの話、バイト代を貯めて顔の美容整形をするとかも有効な手段だとは思います。
失敗したり、やりすぎて「いかにも整形顔」になったりしない限りは、ですが。
あとは、歯の矯正とかも、やっておいて損はないです。
外見は大事です。
面接の受け答え


面接の受け答えについては、たくさん練習をしましょう。
こればかりは、友人や会社員の先輩に頼むしかありません。
あるいは、学校のキャリアセンターで面接対策を申し込むとか、でしょうか。
場数をこなせば、ある程度はマシになってきます。
場数をこなしてもどうにもならない人の場合は、残念ですが、私にはどうしようもありません。
まず、キャリアセンターなど、あまりお金のかからないところを頼ってみましょう。
自分の学校のキャリアセンターを利用してみて、もしあてにならなかった場合は、外部に助けを求めてもいいです。
ほかの学校に友人を作って情報交換をするという手があります。
最近はツイッターなどのオンラインのコミュニティがあるので、そういったものを利用しましょう。
就活塾の是非


就活塾などの有料のサービスの利用はどうでしょうか。
グレーの場合、ADHD的な衝動性によって、不要不急の買い物をしてしまうことがあります。
その延長で、割高な就活支援サービスに申し込んでしまうこともあるかもしれません。
しかし、就活は、無形のサービスに何十万円も払ってまでしてやるものではないと思います。
そういうものに興味を持って、どうしてもやりたい場合は、周囲の信頼できる大人に相談してからにしましょう。
ES添削や面接練習などは、中の良い友人・知人がいれば無料でやってくれることもあります。
また、自己分析なども就活生同士でSNSや分析ツール、電話などを使ってやることもできます。
安易に割高な商品・サービスに手を出すことのないようにしましょう。
そもそも、グレーで就活に苦労している人は就活以外にも学校生活で苦戦している可能性があります。
そういう人の場合は、就活塾に入ったら就活がうまくいくというよりは、障害とどう付き合っていくかを考えた方が有益かもしれません。
グレーの場合、障害によって日常生活に困難をきたさない限り、精神科では発達障害の診断を受けられないことがあります。
そのため、メンタルクリニックの利用も検討しつつ、具体的な生活上の工夫によって個別の困りごとを解決していくことも必要です。
自己分析の罠


私は就活のとき、自己分析をかなりやりました。
というか、正確にいうと、就活以前から自己分析を日常的にやっていて、就活のときに自己分析癖がピークに達したという感じです。
しかし、自己分析ができたからといって、企業からの内定がもらえるとは限りません。
私の場合、「やりたいこと」を自分に問うた結果、就活よりも医学部再受験や起業という選択肢が出てきてしまいました。
結局、私は再受験や起業をするのにも、そのための生活環境やお金は必要だと判断し、就活を続けることにしました。
しかし、一生勤めるか分からない会社に入るために必死になるのは難しかったです。
しかも、ベンチャーや多国籍企業(外資)ではなく、日系大企業を受けることが多かったため、企業の求める人材像と私の価値観が合わないことも、よくありました。
ビジネスに詳しすぎると、逆に変な感じに仕上がる可能性も


私や、私の周りには、将来起業したいという人が多く、将来起業するための踏み台として大企業を利用する人もいました。
そういう人の場合、自分でも事業を起こせるくらい商売に詳しいため、面接で変な感じに仕上がってしまうことがあります。
日系大企業の新卒一括採用の場合、床上手の処女が求められるという比喩がありました。
その表現の良し悪しはさておき、言っていることの意味はあながち間違いではないように思います。
つまり、新卒に期待することとして、あまりにも芋くさい人間は嫌だが、社会に慣れすぎている人も扱いづらいということがあります。
ビジネスに詳しい人の場合、新卒採用の面接でも中途の面接のように語ってしまうことがあるので、要注意です。
内定をもらって入社し、実際の業務に配属されたら知識を活かせる可能性はあるので、入社するまでは控えめな態度でいることをおすすめします。
それが無理なら、ベンチャーや多国籍企業で即戦力として活躍する方が幸せかもしれません。
業界や企業を知りすぎることの弊害


グレーの人の問題としてよく挙げられるのが、過集中です。
そんなことでも、ハマるとやりすぎてしまいます。
ハマるとやりすぎてしまうのは、就活も同じです。
特に、業界研究や企業研究は要注意だと思います。
私の場合、中学生くらいから日経新聞を読み、大学ではBloombergを読んでいました。
そのため、業界や企業に関しての知識は学生にしてはかなりありました。
しかし就活では、知識があることそれ自体を評価されるわけではありません。
知識が評価されるのは、あくまでその企業の志望度が高く、熱意の表れとして企業を調べている場合です。
私は労働者ではなく投資家の視点で企業を見ていたため、かなり上から目線な感じになってしまいました。
学生時代の私は起業を考えていたとはいえ、ビジネスオタクもここまでいくと末期です。
本気で外銀を目指して金融を勉強している人などを除いて、普通はこういう風にならない方がいいと思います。
「能ある鷹は爪を隠す」というように、知識や経験があっても、それを必要以上にひけらかさないことは重要です。
特に日系大企業の場合は。
謙虚に、素直に


労働者として企業に雇われたいのであれば、謙虚に、素直にいきましょう。
それができれば、内定は近いです。
終わりに


私は就活のとき、かなり苦労しました。
実は大学3年夏のインターンはうまくいったのですが、そこで企業の闇を見てしまい、就活のやる気がなくなってしまいました。
ツイッターを見ても、株クラをフォローしていたせいか、ネガティブな経済ニュースばかり流れてきます。
また、同じ研究室の先輩方はそれなりに人気の企業に就職されているのに、なぜ自分はうまく立ち回れないのだろう、と悩みました。
また、医学部再受験や起業を親に反対され、自分自身の計画性のなさから、親を説得することもできず、なんとなく色々な企業を受けていました。
私は1つの会社に一生勤めるか分からないまま、大企業を受けています。
そのため熱意もほかの就活生より少なく、面接もなかなか最後までは行けません。
そこであるとき、やはり自分には素直さや謙虚さが足りなかったと気づきました。
あと、若者らしい元気とか、後輩的な意味での可愛げも足りなかったです。
自分には、面接官から「この人と一緒に仕事をしたい」と思われるような性格の良さがあまりなかったのだとわかりました。
その点について反省をし、面接では若者らしく前向きに話すようにしたところ、内定をいただけました。
そして、最終的に内定をいただいた数少ない何社かのうち、自分に一番合っていそうな企業に入社することになりました。
就活のとき、よくあるアドバイスとして「就活はマッチングだ」というものがあります。
これは、一定程度正しいのですが、だからといって、内定が出ない=人間的魅力がないということではありません。
「いつか自分のことをわかってくれる人が"必ず"現れる」と思ってしまうと、それはシンデレラ願望だったり楽観的すぎるので問題ですが、一方で絶望する必要もないでしょう。
私の場合は、とりあえず実家を出て一人暮らしをする手段として大企業への就職を利用しました。
こういう、打算的で利己的な生き方もありだと思います。
というか、就活=人生みたいに思ってしまうと病む可能性があるので、そちらの方が問題です。
この辺り、自己分析に過集中している人は要注意です。
話が長くなってしまいましたが、グレー向けの就活は、普通の人とはちょっと違ったことにも気を遣った方が結果的にうまくいくという話でした。
読者の皆様が、就活であれ、就活以外の道であれ、とにかく少しでも幸せに生きられることを願っています。
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